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RHYMEBERRY 解散に寄せて

人の決断には色気が浮かぶ。若さ、弱さ、怖さ、愛しさ、憎さ、そういった愛憎入り混じる混沌の果てに導き出した全てに色が匂う。

10代の後半から20代の前半をサバイバルして駆け抜けた(この辺りは僕よりも歴史の古いファンの皆様のよく知るところでしょう)彼女たちの
息切れ、達成、虚無、希望、それらを誰が責められるはずもなくただ危なっかしく美しいものを眺めているだけだった。

知っているようで知らない。が正直1番近い言葉。
彼女たちと向き合う中で歪に重なるそれらの
本当の言葉を知っていた気もするし、フロアで見守るファンの方々より知らなかった気もする。

今日に至るいくつかのアレルギーが熱を持ち痒みを伴い始めた事を、バンコクの空の下プールに浮かぶ僕にホテルの途切れ途切れのwi-fiが運んできたのはもう半年くらい前か。
背泳ぎの形で泳ぐ事をやめ、顔と水面のバランスを崩しながら昭和の水死体のように浮かんだカバはやはりこの世界に変わらぬものなどないと沈んでいった。

何で? こうしたら? どうするの?
そういった言葉に意味はない。
検証も考察も予測も甘美なのに明日に進める小さな一歩はいつだって無味だ。

日々の綱渡りの全ては3人の少女と運営の力だけでなされた。
世のアイドルがどうか知らないが、RHYMEBERRYは出会った時からメンバーに発言権や決定権があるグループだった。
少なくとも俺の人生で出会ったチームの中でも実力、度胸、賢さが抜群に高いチームだと思うが、それでも20歳前後の若者が毎週繰り広げるあの圧巻のステージの舵を握る労力や重圧は計り知れない。

プロデューサーなどと呼んで頂いていたが実際はただの作曲家だ。
僕のした事は曲を書いただけ。
ハタチの思い出なんて、サラ金でプチ蒸発した親父を捕まえて債務整理させたくらいしかない。

一つ後悔があるとすれば
彼女たちを世界中に知らしめるほどの曲を書けなかったこと。
全ての人類の心を鷲掴みにするような曲を俺が書けなかった。
その事実だけは俺を突き刺したままでまた俺をあるべき姿にさせる。

残酷にも明日は平等に永遠に繰り返しやってくる。
“そこにない世界”は”ここにある世界”よりも愛しずらいから
人は皆、今の喪失に酔う。

船出を祝ってほしいとか
これからも応援してほしいとか
そもそも俺の口からお願いするようなことではないが、照明の有無やステージの有無がどうであれ
明日からまた始まる3人のストーリーが皆のストーリーと交わる日が来る事を楽しみにしていてもらえたらと思う。

本当は、俺のせいじゃないんだなんて弁明を長々と挙げ連ねようとしてたけど
最後のステージを見てそんな事どうでもよくなった
そもそも関わる全ての人が答え合わせの無意味さを知っていた
あのメンバーあって、ファンあって、その全てがRHYMEBERRYだったのだとそこに証明されて。

なんつーか、ラップだなんだは置いといてロックなチームだった。
いつだって クソこのやろう と闘志をむき出しにし
負けてなお 立ち上がる その姿は辰吉のそれと同様にロックだ。
一度でも彼女たちを見たことがある人に異論の余地はないだろう。
今、導き出された解散の文字にゲームセットを全く感じられないのはそのロックを少し近くで見過ぎたからか。
このグローブじゃ殴りづらいと素手の拳がどこへ向かい何を殴るのか
申し訳ないが僕は今は楽しみでしかないのだ。

気づけば1人きり 立ち止まってた
これからどうすればいいかも分からずに
誰かが言うように出来ればよかったの?

1人膝を抱え考え込んでいる
フリして怯えている 無理して起き上がれと
誰かが言うように出来ればよかったの?

1人だけじゃココは 心許ないよと
向いてないんだから静かにしてなって
誰かが言うように出来ればよかったの?

いつからはじまったかなんか覚えてない いつまで続くのかなんかわかんない
あんた方ナンダカンダいっても やりたい事やるべきですか
妥協しない罵倒しないけど 座頭市ばりに人一倍小芝居
じみたギャルもドルも叩き切る ノーセンキューあたいらに甘い汁
不遇ブルー狂うほどのステップダウン 普通切らない危険牌の決断
工夫と工夫とおっしゃりますが 肩捲り日向みたいにしか出来ない
不器用握るマイクが武器よ get it on 照らすライトの蜃気楼
性だね運命 見定めた明日へ タガタメ硬めに固めたラップです

君と僕と 雨に濡れて
泥だらけで それでも
君と僕と歌おう

あなたがいてくれれば 何度でも立ち上がる
ボロボロになってそれでもいいんだって
諦めの美学を見つけれずに never give up

1人じゃないからさ まだ遊んでられるよ
凸凹のパーティーがさ バタバタのパーティーをさ
誰かの思うようになる気はないから

終わりの日なんか考えない アイドルだ寿命だ関係ない
瓦版なんて叩き割れ かわりばんこんなってやってやる
誰がルーザーだ we are がWINNERだ
証人はみんなだ そこにはみんなが
笑っているから立ち上がれる 踊っているから歩き出せる
オドオドしてても大丈夫 イジイジしてても大丈夫
世界は平等で一つじゃない でも 未来も決めつけた一つじゃない
性とか運命 聞き飽きたからね 明日を切り開くのはこのラップです

君と僕と 雨に濡れて
泥だらけで それでも
君と僕と 歌おう